お経

 「どんな気持ちでお経を聞いてるの?」と、高校生に聞いたことがあります。その高校生は「どんなって言うか、なんか不思議な気持ちで聞いてる」と答えてくれました。彼が”不思議な気持ち”と言ったのは、お経の本を見ても漢字ばかりがごちゃごちゃと羅列されていて、意味がまったく分からないので呪文のように聞こえるから、ということでした。

 じつはお経には、インドのお釈迦さまが、お弟子さんや人々に語られた”さとりへの道”が説かれています。つまり、人生の迷いや苦しみを超えていくヒントが詰まっている、お釈迦さまから私たちへのメッセージなのです。

 浄土真宗がもっとも大切にしているお経の一つ『仏説無量寿経』の最後の方で、お釈迦さまは次のようにおっしゃっています。


わたしは今、すべてのもののためにこの教えを説き、さらに無量寿仏(阿弥陀如来)とその国土(極楽浄土)のようすを残らず見せた。この上にまだ尋ねたいことがあるなら、ためらうことなく問うがよい。わたしがこの世を去った後に疑いを起こすようなことがあってはならない。やがて将来、わたしが示したさまざまなさとりへの道はみな失われてしまうであろうが、わたしは慈しみの心をもって哀れみ、特にこの教えだけをその後いつまでもとどめておこう。そしてこの教えに出会うものは、みな願いに応じて迷いの世界を離れることができるであろう〜 本願寺出版社『浄土三部経』現代語版より


 お経は、亡くなった方が迷わないように読むものというよりは、身近な方を亡くして心乱れている私たちを、やさしくつつみこんでくださるものだったのですね。 
 
 あなたは、どのようにお経を聞いてらっしゃいますか?

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