共生…〈ちがいを大切にする〉

「あみださま」というほとけさまは、「ごくらく」というすばらしい場所をもっていて、死んでたましいになった人びとをだれでも受け入れるじゅんびをしている、といわれています。この「ごくらく」は、さまざまな人が集まってなかよくくらせるすばらしい世界だといわれています。ここには「差別」、つまり「なかまはずれ」のいじめがありません。「差別」とは、男の人と女の人とどっちか決められない人のちがい、みんぞくや国せきや生まれた場所のちがい、病気やケガ、からだのとくちょうのちがい、考え方や宗教のちがい、おしごとや身分のちがい、仲が良かった人と悪かった人のちがいなどで、だれかをなかまはずれにして、いじめることです。

 さて「ごくらく」は、西に向かってずっと遠くにある場所、といわれています。でも「そんな遠い場所で死んだ人ばっかり集まる場所のおはなしなんて、自分には関係ない」なんて言わないでください。それがどんなに遠くでも、なかまはずれがない場所が世界のどこかにあるかもしれないと思っているだけで、「なかまはずれはなくせるかもしれない」という希望をもてると思うのです。「ごくらく」は「ちがった人どうしがいっしょにくらす場所」。だから、自分やみんなとちがった人といっしょにいるのがイヤな人には、楽しい場所ではありません。いじめは、さまざまなところにあります。あなたのクラスにもあるかも知れませんし、世界でおきている戦争にも、もとをたどれば「差別」といわれるなかまはずれがあります。

でもみんなでなかまはずれをやめて、「自分やみんなとちがう人」と楽しくすごすことができたなら、きっと「ごくらく」は、どこかの遠い場所なんかではなくなるのです。。

(今回は曹洞宗の僧侶・渡部鋭幸さんが児童の為に書いた文章を、許可をいただき掲載しました)

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