輪廻

 先日、お寺に遊びに来た高校生の男子から「この世にある命とあの世にある命の総数は、一定の数に決まっていて、その中で順番に生まれ変わっているんじゃないかと思うんだけど、どう思いますか?」という質問を受けました。

 「それは輪廻の考え方だよね。仏教国のタイではその考え方が根付いてるから、たとえば足下にアリがいたとすると、『このアリはひょっとしたら自分の先祖かもしれない』と思って、アリを踏みつぶさないように大事にしたりするらしいよ。この世とあの世の命の数が一定数に決まっているとすると、そういうものの見方ができるよね。」と返答すると、「それはよい考え方だなぁ」と頷いてくれました。

 浄土真宗では阿弥陀如来のはたらきによって、すべての命は亡くなると直ちに仏に成って浄土に生まれる、と説いています。今までは輪廻してきたかもしれないけれど、阿弥陀如来に出逢うことで、終わりのない輪廻の輪から抜け出すことができる。肌の色が違っても、生まれた国や境遇が違っても、老いも若きも、みんな平等に浄土に救われていく、と。

 そういう視点で世界を見る目をいただける。これも阿弥陀如来の利益の一つなのでしょう。


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