いのちは誰のものか

 去る2月18日、お釈迦様のご命日法要「涅槃会(ねはんえ)」をおつとめしました。今年の記念講演は「いのち〜お釈迦様は命をどう見つめられたか〜」と題して、中京大学教授で浄土真宗を信仰していらっしゃる平川宗信先生のお話を聞きました。

 先生は刑法学者と真宗者の立場から、テレビや新聞ではあまり報道されることがない死刑制度の実態について、死刑執行に直接関わる法務大臣や刑務官という役職、世界の流れ(先進国で死刑制度を存置させているのはアメリカの38州と日本だけ)などを紹介して、国が人の生死を扱う死刑制度を取り上げて「命は誰のものでしょうか」と問いかけられました。

 そして、お釈迦様の従兄弟ダイバダッタが放った矢に射抜かれ傷ついた白鳥の命をめぐって展開される仏教説話に出てくる次の言葉を紹介されました。

「すべての命は、それを愛そう、愛そうとしている者のものであって、

それを傷つけよう、傷つけようとしている者のものではない」

命について深く重く考えさせられた今年の涅槃会でした。

《平川先生の推薦図書》

『弟を殺した彼と、僕。』 原田正治 著 ポプラ社

BACK