『正信偈』の最後に「唯可信斯高僧説(ただこの高僧方の教えを信ずべし)」と、結ばれているように、親鸞さまがお念仏《阿弥陀如来の願い=本願》に出会われたのは、直接の師、法然上人をはじめとする、お釈迦さまの浄土の教えを受け伝えてこられた、インド・中国・日本の七人の先達僧侶「七高僧」との出会いがあったからです。 親鸞さまは『正信偈』に、多大な影響を受けられた七高僧について記されました。それを順にご紹介していきながら、お念仏の味わいを深めていきたいと思います。 一人目は、仏教を難行道と易行道に分けた大乗仏教の祖師、インドの龍樹菩薩です 宣説大乗無上法 証歓喜地生安楽 顕示難行陸路苦 信楽易行水道楽 憶念弥陀仏本願 自然即時入必定 唯能常称如来号 応報大悲弘誓恩 (『正信偈』より) 《意訳》 釈尊は楞伽山で大衆に、「南インドに龍樹菩薩が現れて、有無の邪見をすべて打ち破り、尊い大乗の法を説き、歓喜地の位に至って、阿弥陀仏の浄土に往生するだろう」と仰せになった。龍樹菩薩は、難行道は苦しい陸路のようであると示し、易行道は楽しい船旅のようであるとお勧めになる。「阿弥陀仏の本願を信じれば、おのずからただちに正定聚に入る。ただ常に阿弥陀仏の名号を称え、本願の大いなる慈悲の恩に報いるがよい」と述べられた。 (本願寺出版社『顕浄土真実教行証文類』より) |