お墓の意義


 「墓相」とは、お墓の環境や墓石の色、形、大きさ、方角などに「相」というものがあって、その吉か凶かによって家庭に不幸が起こったり、逆に幸せがおとずれたりするというもので、この墓相に関する書物もたくさん出版されています。
 しかし、そういった墓相書を注意してお読みになれば、それがいかに信ずるに足りないものであるかは、すぐにおわかりになると思います。つまり、そこに述べられている説には、何ら統計的な根拠もなければ、因果関係も明らかにされておらず、また、著者それぞれによって、主張する説がまちまちで、統一的な脈絡が何もないということです。(中略)浄土真宗にかぎらず、仏教全般からいっても、「墓相」など、まったく何の根拠もありません。お墓に吉凶もなければ、お墓によって人が幸せになったり不幸になったりするというようなこともないのです。
【大阪教区教務所発行『続・法事を営む70章』より】


 お墓は私たちが故人とのつながりを確かめあい、今この瞬間を生きていることに感謝の心をあらわす場所です。そして、亡き人がご縁となって私たちが仏教に出会う場所でもあります。最近お墓の正面に「南無阿弥陀仏」と刻まれることが多いのは、お仏壇と同じで特別な準備をしなくてもすぐにお経のおつとめができるように、という理由からなのです。

 また、「墓相」についてですが、浄土真宗は、「誰でも、平等に、阿弥陀如来のはたらきによって、命終ると同時に仏の国に救われていく」という教えです。もし、立派なお墓を建てなければ故人も遺族も救われないのであれば、お金持ちしか救われないことになってしまいます。また、地域によっては京都の大谷本廟(親鸞聖人のお墓があるところ)や近所のお寺に納骨堂があるので、個人でお墓を持たないところもあるそうです。

 お墓を建てるときには、まずはじめに、お墓の意義をよく考えてから建てたいものですね。



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