阿弥陀如来のねがいA〜法蔵菩薩の物語〜

 お釈迦さまは、この世の幸不幸に振り回されて、自分の小さな殻に閉じこもって生きてしまいがちな私たちが、広い心でイキイキと輝いて生きていけるように、はたらき続けているのが阿弥陀如来であることを教えてくださいました。そのような”はたらき”である阿弥陀如来は、本来「色もなく形もない」のですが、それでは私たちにはよく分からないということで、この世の人の姿にたとえて教えてくださいました。それが、『仏説無量寿経』に説かれてある『法蔵菩薩の物語』です。

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 あるとき、あるところに、この世の幸せの代表ともいうくらい恵まれた国王がいました。その国王が、縁あって、人生のほんとうの意味を悟った先生《世自在王仏》に出会います。その先生の教えを受けた国王は、今まで幸せの根本であると思い込んでいたお金や名誉や地位を持つことが、じつは本当の幸せではないことに気づき、ほんとうの幸せを求めて生きる人《法蔵菩薩》となりました。
 やがて、法蔵菩薩は、先生のように人生のほんとうの意味を悟ることと同時に、この世に生きるすべての人々の悩みや苦しみを根本から取り除きたい、というねがいを持つようになりました。
 法蔵菩薩は、先生の教えをすべて吸収し、その上で、すべての人々がもれなく、それぞれの悩みや苦しみをはなれて、広い心でイキイキと輝いて生きていけるようにするための方法《四十八願》を考え出しました。さらに、その方法がすべての人々に対して間違いなく効くよう、完璧なものに仕上げるまでは、決して自分だけ「悟った」などとは言わないと、先生に誓われたのでした。そして、努力に努力を重ねて、ついにその方法を完成し、悟りを開いた方《阿弥陀如来》となられたのです。以来、時間と場所に関係なく、人々の悩みや苦しみに寄り添い、私たちが安心して明るく広い心で生きていけるように、休まずはたらき続けているのです。
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 お釈迦さまがその生涯を終えられようとした時、「あなたがいなくなったら何を頼りに生きていけばよいのでしょう?」と、お弟子さんから尋ねられ、「これからは、あなた方自身と、私があきらかにした教えを心の灯火としなさい。」と、言い残されました。

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