「しっていますか?脳外傷」(2005.6.26)

 今回は”目に見えない障害”「脳外傷」についての理解を深めました。

 私たち人間の脳は、高性能で大変デリケートな部品でできたコンピュータに例えられます。脳は外側を硬い骨に覆われ、直接傷つきにくくなっていますが、交通事故などで頭を強く「ゆさぶられる」ことによって、中の部品のケーブルがちぎれてしまい、コンピュータの機能が部分的に停止してしまうことがあります。これが「脳外傷」です。
(『Q&A 脳外傷 本人と家族のためのガイドブック』より引用)


 まずはじめに脳外傷についてのテレビの特集番組を見ました。続いて、ある日突然事故に遭い、一命を取り留めたものの、どこか「前の自分とは違う」感覚や、以前なら簡単にできたことがどれだけがんばってもうまくできなくなってしまったことなどに悩むも、医師からは「完治」と診断され、周りの人からも「(できないのは)努力が足りないからだ」と罵られ、最近になってようやく自分が「脳外傷」であることを知ったという当事者の方のお話を聞きました。

 脳外傷の影響は人によって様々で、感情のコントロールがうまくできなくなってしまった人や、ある分野においては物凄く才能がある反面、人から見れば驚くほど簡単なことができなかったりと、一人の人間の中で「できることとできないことの差」が激しいために周りの人に障害であることを理解されにくく、悩んでいる人もいるそうです。
 他に、脳外傷の症状の喩えとして、「もともとの頭の記憶容量がコップ1杯分あった人が、突然コップ半分の容量しかなくなってしまう」、「120キロのスピードで走れていた車が、どれだけがんばっても最高60キロしかスピードが出なくなってしまう」など、わかりやすく説明していただきました。

 その方が最近出会ったうれしい言葉。それは、「がんばっているのは君だけじゃない。でも、君ががんばっていることを、ボクはよく知っている。」という言葉だそうです。

 この障害は一般にはまだよく知られていません。そのため、いじめに苦しむ人も多く、中には自ら命を絶つ人もいるそうです。現在わかっているだけでも、日本国内に30万人が脳外傷の診断を受けているそうです。すべての人が、人として安心して暮らせる世の中を目指したい、そんな気持ちを新たにした6月のフレンズでした。

 副住職 大平一誠

 

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