9条を活かした国際協力のあり方って? |
今年は日本が戦争で負けてから60年目の節目の年。 テレビや新聞ではいつになく戦争や平和について踏み込んだ議論がなされているようですので、僕も「憲法9条の意味と大切さを考えましょう」と呼びかけている僧侶の一人として、今回はちょっと踏み込んだ意見を述べてみたいと思います。 イラクへの人道復興支援でもそうですが、武器を持った自衛隊が「国際貢献」の名のもとに海外にでかけていくことについて、憲法9条に違反しているのかいないかが必ず議論になります。その問題について、僕なりに憲法9条を変えないことを前提とした自衛隊のあり方について考えてみました。 まず自衛隊の海外での活動に関してですが、憲法9条の原則に則って完全に非武装ででかけていく、純粋な「国際ボランティア隊」にしてはどうかと思います。それも国益とか見返りとか一切考えないで活動する、仏教でいうところの「布施」の精神で活動する”隊”です。その理由は、世界の食糧事情の観点から見れば、日本は世界でも指折り(世界全体の1割から2割くらいしかない)の裕福な国ですから、栄養不足で子どもとか体の弱い人から順番に死んでいっている国々を支援するのは、国際的な観点からも人道的な観点からも、それくらいして当然だと思うからです。 そういう意味では、今まさに助けを必要としている国はイラク以外にもたくさんあります。たとえば、自衛隊がイラクのサマワに派遣された当初、よくテレビで自衛隊のみなさんが給水活動をしている場面を見かけました。でも、水に困っているという意味では、イラクよりもアフガニスタンの方がよっぽど支援が必要だと、イラクやアフガニスタンの事情に詳しいジャーナリストの久保田弘信さんも言っていました。なので、そうした本当に困っている国の支援を、自分たちの意志で率先して行っていけば、大儀の見えない活動に参加している余裕などなくなるんじゃないかと思います。そうなると、たとえ他国から今回のイラクのような要請があっても、「すいません、今、うちの国は他国の支援で手がいっぱいなもので、とてもそちらまで手がまわりません。」と立派な言い訳(?)ができると思うのです。(※イラクに支援が必要ないと言っている訳ではありません。) |