若者、非戦を考える
 去る3月6日(土)、浄土真宗の仏教青年会が『非戦・平和を考える研修会〜戦時布教の再現と講演会〜』を開催しました。

 今から67年前にはじまった日中戦争の最中に、浄土真宗を代表する高名な僧侶によって行われた、門徒の方々を戦争に駆り立てる布教の再現を聞く会を、若者が主催したのです。

 「死ねば浄土に行くのではなく、御霊となって靖国神社に奉られる。」、「阿弥陀如来より天皇陛下の方が奥にいらっしゃるから、阿弥陀如来よりも天皇陛下の仰せに従うべきだ。」など、『神祇不拝、阿弥陀如来一仏(注1)』の浄土真宗の僧侶とは思えぬ発言や、「戦争は国民に我欲を捨てさせて一致団結させてくれるから尊いことだ。」、「こと(戦争)はすでにはじまった。もはや善悪うんぬんを語る時ではない!」などの発言に、戦時の異常な国民統制を肌で感じることができました。また、もっと恐いと思ったのは、当時はそういう内容の布教を聞いて違和感を感じても、それを口に出して言えない世の中だったことです。

 最近のニュースを見ていると、かつて日本が歩んだ歴史を思い出させるような場面を多々目にします。僕は戦争を経験していませんが、歴史ときちんと向き合ってみて、もう二度と、あんな悲しみの世の中に戻りたくないと、強く思いました。

 
副住職 大平一誠

(注1)浄土真宗は「人は皆、必ず阿弥陀如来と同じ仏様にならせてもらえる命を生きているのだから、すべての命は等しく尊い命なのです。」という教えです。人の上に人をつくらず、老いも若きも、女性も男性も、お互いに尊敬しあえる世の中って、素敵じゃないですか?


【副住職のおすすめ図書】
『日本は、本当に平和憲法を捨てるのですか?』C.ダグラス ラミス(原著) まや ラミス(翻訳) 平凡社
 上記のような歴史(現実)の反省から、二度と武器や軍隊を持たない国になるためにつくられた平和憲法《第9条》が今、風前の灯火となっています。
 この本は、政府が変えようとしている平和憲法が、どのようにしてできあがり、また、それを変えるということは、どのような世の中になるのかを、たいへんわかりやすく教えてくれます。
 読書が超苦手な副住職でも、「あっ」という間に読めてしまった全60ページ。
 次の選挙までに、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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